人気ブログランキング | 話題のタグを見る
ブログトップ

New York Psychologist's Life

psyclife.exblog.jp

Moline先生のレッスン

Moline先生のレッスン_d0004292_010621.jpgまた新しい師匠に弟子入りしてチェロを教えてもらうことになりました。人との出会いは不思議なもので、これで気がついたら私のチェロの師匠は9人目になりました。9人目の師匠は、会社のオーケストラのAO先輩に紹介していただいたドナルド・モリーン(Donald Moline)先生です。笑顔が優しいとても親切な先生で、深くて温かい音色を奏でるチェリストです。

モリーン先生は、元シカゴ交響楽団のチェロ奏者として39年間ご活躍された後、今年の夏に退職されて日本人の奥様と一緒に日本に引っ越して来られました。会社のAO先輩が偶然にもチェロを持って会社の傍を歩いていたモリーン先生に声をかけて友人になり、先生とのつながりを持つことができました。私は日本に帰ってきてからは、もう海外のプロの演奏家に音楽を習うこともないだろうと思っていたのですが、ラッキーなことがあるものです。

さて、初レッスンでは、まず先生に私の演奏レベルを知ってもらうために、バッハの無伴奏ソナタの1番と、サン・サーンスのチェロ協奏曲の前半部分を弾きました。

先生がバッハの楽譜をさっと見て一言。
Moline先生「おっ。シュタルケル先生の楽譜だね。」

モリーン先生は、Janos Starkerの弟子だったということです。そういえば、私が大学時代に購入したこのバッハの無伴奏ソナタの楽譜は、偶然にもシュタルケルの編集した楽譜でした。今回、この曲をシュタルケルの弟子に教えてもらうことになるとは、何とも感慨深いものです。

先生に最初に言われたことは、左手の強化でした。これはBrinton先生にも言われていたのですが、なかなか左手の単調な練習が続けられなくて、まだ課題になっているところでした。モリーン先生は、週4日体を鍛えるためにジムに通っているそうですが(スゴイ・・・・)、チェロの場合でも基礎練習による左手の筋肉トレーニングが大事だと強調されていました。

以下は、Moline先生の印象に残った言葉です。

Moline先生「毎日10分ずつでも弾くことが大事なんだ。年を取れば筋肉が衰えるのも早くなっていくからね。週末に3時間まとめて練習するよりも、毎日短い時間であっても続けることだよ。」

Moline先生「君は、それぞれのポジションという町(Town)はしっかり作れているけれど、それぞれのTownを繋ぐ道路(Road)がまだ整備されていない。道を作ってあげると演奏しやすくなるよ。」

Moline先生「チェロを弾く上で、「演奏技術」は、「語彙(Vocaburary)」にあたるんだ。言いたいことがあっても、語彙がなければそれを表現することができないでしょう?」

心にずしっと響く重みのある一言でした。確かに、チェロを練習していて、「もっとこういう風に弾けたらいいのに」という理想のイメージが湧いても、思うような音が出せないときは本当に悔しいものです。もっと音楽の語彙を増やすことができたら、表現できる音楽の幅も自然に広がっていくのでしょう。

Moline先生「ぼくは、生徒がチェロを楽しく弾けるようになるためのお手伝いをしたいんだ。」

1時間半のレッスンで大量の宿題をもらいました。スケールなどの基礎的な筋力トレーニングから、CossmanやPopperの練習曲、クープランのソナタなど盛りだくさんです。先生は、「宿題出しすぎちゃったかな」と言っていましたが、私はこういう課題が出されると、新しいことにチャレンジできる喜びを感じてついわくわくしてしまいます。

次回のレッスンは1ヶ月後なので、4週間の間にこなせばいいのですが、すっかり弾くのが楽しくなってしまって家に帰ってから一気に5つの課題を一通り練習してしまいました。次のレッスンまでに、指が鍛えられて強くなるように、毎日少しずつ筋トレしたいと思います。

写真:コロンビア大学構内にあるライオンの像
by hicello | 2006-12-17 00:11 | 音楽
<< 会社のロビーでクリスマスコンサート 仲良しサンタクロースミッキー >>