私が講師を担当している日本語リスニングクラスは、今日が今学期最後の授業だった。1セメスター毎週のように顔をあわせていると、だんだんとそれぞれの生徒の性格が分かってくる。一生懸命真面目に時間をかけて取り組んでいる生徒もいれば、手際よく課題を終えた後、次の授業のことが気になるのか落ち着かない様子の生徒もいる。
クラスにいる何人かの生徒に専攻を聞いてみたところ、経済学部だったり、SIPAやLaw Schoolだったりと必ずしも東アジア学部に所属する生徒だけではないようだ。
コロンビア大学の日本語クラスの1年生は週3日、通常の文法の授業とListeningクラスなどを組み合わせて密度の濃い勉強をしており、半年のうちにかなりのレベルまで到達する。ここで日本語クラスを取った生徒のうち、何割くらいがその後も日本語を使い続けるのだろう。これだけ上達しているのだから、出来たらそのまま日本語を使い続けて欲しいなぁと思う。
日本語のリスニングクラスでは、毎回のレッスンの最後に必ず日本語の短いビデオを見ることになっている。日本人の日常生活を紹介している5分程度のビデオである。生徒の提出する課題には、毎回、このビデオの感想を書く欄が用意されている。
問題用紙には「ビデオを見て、自分の国の文化と比較して、違いについて書きなさい。」という指示があって、生徒が気がついた点について自由に書けるようになっている。この欄を読んでいると、日本人が気づかない視点が沢山あって面白い。
例えば今まで読んだコメントの中に、以下のようなものがあった。
・日本の店員はいつもお客さんにお辞儀をしていて、態度も礼儀正しい。(この「日本人は礼儀正しい」という感想がいつも一番多かった。)
・日本人は引っ越してきたときに隣人に贈り物をあげるが、アメリカ人は隣人に挨拶をするだけである。(確かに、日本人は贈り物・お土産好きだと思う。)
・日本人は贈り物をあげる前に中身を言う。(中身は言わなくても、「大した物ではない」と謙遜することはよくありますね。)
・道で会ったときに「どこに行かれるのですか?」と相手の行き先を尋ねるのは、プライバシーの侵害である。(気をつけよう・・。)
・道で会った時に、アメリカ人は「How are you doing? Pretty hot day, huh?」などのスモールトークをするが、日本人はしない。(このスモールトークは、私もアメリカに来たばかり頃は慣れなくて困ったものである。この習慣はアメリカ人流の礼儀作法なのかもしれない。)
・「Bye」と言わずに電話を切るのは失礼である。(そうだったんですか?!知らなかった。。)
・ビデオの中の日本人は道路を掃除していたが、アメリカ人は、道路の掃除はしない。(いつも箒で道を掃除しているバカボンの「レレレのおじさん」は、アメリカ人にとっては理解できない超変人キャラクターなのかもしれない。)
・日本のATMは言葉をしゃべる。(そう言われてみれば、変ですね。)
こうして違いを並べてみると、随分沢山あるものだ。日本人が当たり前と思っていることが、実は外国人から見ると奇妙に映っていたりする。またアメリカ人と日本人では、プライバシーやマナーについての考えが微妙にずれているようだ。
写真:Columbia大学の校舎(11月初旬頃に撮影)